ラーメンをよく食べると太る?──その理由と対策を考える

ラーメンは多くの人にとって「ご褒美フード」であり、「罪悪感グルメ」としても知られています。では、本当にラーメンをよく食べると太るのでしょうか? この記事では、ラーメンが太りやすいと言われる理由を、医学・栄養学的な観点から分解しつつ、太らずに楽しむ方法を論理的に探っていきます。

◉ ラーメンを食べると太るのか?という疑問

世間では「ラーメン=太る」というイメージが根強くあります。これは単なる印象ではなく、いくつかの栄養学的な事実に裏付けられています。しかし、それは「ラーメンだから太る」という単純な話ではなく、**“どのように食べるか”と“どれだけ食べるか”**によって変わるのです。

◉ なぜラーメンで太りやすいのか?──3つの原因

カロリー過多:ラーメンは高エネルギー食品である

一般的なラーメン一杯のカロリーは500~900kcal、トッピングによっては1,000kcalを超えることもあります(文部科学省「食品成分データベース」より)。

  • 麺:炭水化物が主成分(小麦粉)、約200~300kcal
  • スープ:脂質・塩分が多く、200~300kcal
  • チャーシュー・卵など:タンパク質・脂質が追加される

摂取カロリーが消費カロリーを上回ると体脂肪が蓄積されるのは、エネルギー収支理論に基づく基本原則です(Hall KD et al., Lancet, 2011)。

味の濃さと「食の報酬系」による過食の促進

ラーメンの濃い味(塩分・脂質・うま味調味料)は、脳内の「報酬系」と呼ばれる神経系(ドーパミン系)を刺激します。
これにより、満腹感を感じにくくなったり、強い「また食べたい」という欲求が生まれやすくなることが分かっています(Volkow ND et al., Am J Psychiatry, 2011)。

「中毒性」という表現は医学的には不正確ですが、習慣的な過食に繋がる性質があることは事実です。

噛まずに早食い:満腹感の遅れと食べすぎの原因に

ラーメンの麺は柔らかく、味も濃いため、よく噛まずに短時間で食べ終わってしまう傾向があります。
しかし、満腹感は消化・吸収と関係するホルモン(レプチンやGLP-1など)の分泌によって脳に伝わるため、食事開始から20分程度かかるとされています(Blundell JE et al., Am J Clin Nutr, 2010)。

つまり、早食いは満腹を感じる前に食べすぎてしまう最大の要因です。

◉ 工夫次第で「太らないラーメンの食べ方」は可能

ラーメンを食べること自体が問題なのではなく、どう食べるかが重要です。以下のような工夫で、太りにくくすることができます。

スープを飲み干さない

スープには、全体のカロリーの約30~50%が含まれるとされ、また塩分も非常に高いです(1杯あたり約6~8g、1日の推奨塩分量6g未満を超えることも)。
スープを飲まないだけで、200~300kcalと3g以上の塩分をカットできます。

わたしの場合、スープはそもそも飲まないです。いっときは、カップラーメンを食べる前にスープをすべて捨てて食べ始めていましたが、今は飲むことをやめています(カップに口をつける、レンゲで救うことをしない)

よく噛んで、ゆっくり食べる

咀嚼回数を増やすことで、食事誘発性熱産生(DIT)が高まり、エネルギー消費がわずかに上がることが報告されています(Ohashi Y et al., J Nutr Sci Vitaminol, 2006)。
また、満腹中枢への刺激が早くなり、結果的に食べる量が抑えられるため、ゆっくり食べることは確実に効果的です。

頻度とバランスを意識する

ラーメンを毎日食べるのではなく、週1~2回程度に抑えたり、他の食事で野菜・たんぱく質を意識的に補うことで、総合的な健康リスクは大きく軽減できます。
「食のトータルバランス」が、体重と健康に最も影響する要因です。

◉ ラーメン=太る、ではなく「食べ方の問題」

ラーメンは、確かに高カロリー・高塩分・高脂質な料理ですが、正しく付き合えば楽しむことは十分に可能です。
食べ方や頻度、ちょっとした意識によって、ラーメンを楽しみながら健康を保つことはできるのです。

好きな食べ物を制限するよりも、食べ方を意識することで、食べても問題ない食生活にしてみたいです。


【参考文献】

  • Hall KD et al. (2011). Quantification of the effect of energy imbalance on bodyweight. Lancet, 378(9793), 826-837.
  • Volkow ND et al. (2011). Obesity and addiction: neurobiological overlaps. Am J Psychiatry, 168(8), 810-819.
  • Blundell JE et al. (2010). Appetite control: methodological aspects of the evaluation of foods. Am J Clin Nutr, 91(1), 211S–218S.
  • Ohashi Y et al. (2006). Effect of chewing on postprandial thermogenesis. J Nutr Sci Vitaminol, 52(4), 231–234.
  • 文部科学省「日本食品標準成分表」
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
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