若さとは、単に年齢を逆行させることでも、見た目を保つことでもない。
本質的には「時間とどう向き合っているか」という姿勢こそが、私のアンチエイジングの源泉だ。
●時間とやさしく寄り添う若さの考え方
私たちはふだん「時間」と聞くと、時計やカレンダーに支配された均質な流れを思い浮かべる。けれど実際には、時間はもっと主観的で多層的な存在だ。過去の1分が永遠に感じられることもあれば、1年がまるで数週間のように過ぎ去ることもある。
若さを“見た目”で判断することは多いが、本質はそこではない。むしろ、時間との関係性の質――自分の時間をどう感じ、どう育てているかにこそ、若さの核心がある。
時間を「消費」してしまうと、心はすり減っていく。一方、時間を「共創」する意識で過ごすと、心はふくらみ、身体にも自然と張りが宿る。
年齢という数字に抗うのではなく、流れていく時間と響き合う姿勢――それが、内側から若さを湧き上がらせる構えだと思う。
●日々の感じ方と豊かな体験の重なり
旅に出ると、時間の進み方が変わる。非日常の中では、風景の色や音、空気の密度までもが記憶に残り、結果として“長く生きた”ような感覚が生まれる。反対に、毎日同じ景色を眺め、同じ作業を繰り返していると、気がつけば季節がひとつ、またひとつと過ぎている。
「今年、何をしましたか?」と聞かれて、濃く語れる人は若い。体験の密度は、時間の伸縮を生み出す。そしてその感覚が、年齢以上に“老い”や“若さ”を形づくる。
ルーティンは必要だが、無自覚な惰性の繰り返しは危険だ。自分の時間に対してどれだけ意識を向けられているか――それが、老化の速度を左右しているのではないかと感じる。
●自分のペースで整える暮らしのリズム
私はシャワーを週に1〜2回にとどめ、石鹸やシャンプーも使わず、肌の自然回復力にまかせている。朝は、はちみつ、イージーファイバー、プロテイン。食事は昼夜の2回。このライフスタイルは、身体を整えるだけでなく、時間とのリズムを整える方法でもある。
決まったスケジュールにただ従うのではなく、自分の感覚に合った「自然な時間の流れ」に身を置くことで、無理のない若さが育っていく。自分の呼吸や満腹感、睡眠リズムを尊重することは、言い換えれば「時間に対して誠実である」ということだ。
外から押しつけられる時間ではなく、自分の内側から湧き上がるリズムを信じる。
●未来を見つめる心と時間とのやわらかな対話
やりたいことがあるとき、人は未来を見ている。
この状態は、時間と活発に対話している証拠でもある。
私は今、旅がしたい、もっとAIに触れたい、資産形成を深めたい――そんな「これから」の欲求にあふれている。好奇心という名の火が消えない限り、時間は味方になる。
老化とは、「時間に置いていかれる」感覚が始まったときに起きるのではないか。身体の衰え以上に、精神が“未来との対話”をやめたときにこそ、本格的な老いは訪れる。
誰かと比べたり、過去の自分を悔やんだりする必要はない。
受け入れること、探求し続けること。そうした姿勢が、時間との調和を生み、若さを内側から支えてくれる。
●変化を楽しみながら育むこれからの自分
老化は敵ではない。必ず起こるものだ。
それを無理に止めようとするほど、時間との対話は断絶していく。
むしろ、変わっていく自分を丁寧に見つめ、「お、また新しいステージに入ったな」と観察すること。そこには、過去にはなかった時間の味わいがある。
たとえばヒゲ脱毛をしたとき、自分の顔つきが変わった。けれど、若い頃の自分に戻ったわけではない。むしろ、「かつてなかった自分」に出会った。その出会いを受け入れる姿勢が、時間との健全な関係を築く。
年齢を重ねることは、自己を失うプロセスではなく、再編集するプロセスだ。見た目や能力の一部が変わっていっても、自分との対話が続く限り、そこに若さは宿る。
老化とともに深まるものを信じ、恐れずに、その変化に共感しながら生きていく。それが、アンチエイジングの本質ではないかと、私は感じている。
Anti-Aging man