日常生活において、私たちは数えきれないほどのストレスに直面します。
今回は、私たちが経験するさまざまなストレスとその影響を、『ストレスマグニチュード』という指標を用いて詳しく掘り下げ、数値で具体化してみました。
「ストレス蓄積度」とも呼ばれるこの指標は、ストレスの量を数値で示す方法であり、元は1960年代にアメリカの心理学者によって開発された「社会的再適応評価尺度」に基づいています。この有用なツールを現代の日本に適応させ、2012年に神戸市精神保健福祉センターが新たなバージョンを発表しました。
このストレス値を、ある程度のカテゴリに分けてご紹介します.
数字の見方はだいたいの大小を把握することにありますが、基準を”結婚”としている場合が多いです.そのため、”結婚”=42.5より大きい項目はストレス値に気をつけたいものです.
Family Category
家族内の会話の減少が58.0、配偶者が仕事を辞めるか始めることのストレス値が55.8となっており、家庭生活の質に影響を与える要因となっています。
子供の受験が49.0、子供の転校・入学が46.1というストレス値であり、親としての責任がストレスの原因となっていることを示しています。
新しい家族が増えることのストレス値が42.8であり、これは結婚のストレス値42.5と近い値であり、ポジティブな変化にも関わらずストレス要因となることがあります。
カテゴリー | ストレス要因 | ストレス値 |
---|---|---|
家族の健康 | 家族の病気、怪我 | 73.7 |
関係の変化 | 離婚 | 72.3 |
家族の対立 | 配偶者・恋人・子どもの暴力 | 71.6 |
関係の問題 | 配偶者や恋人の浮気 | 69.4 |
関係の変化 | 配偶者(夫・妻)との別居 | 66.3 |
関係の対立 | 夫婦や恋人との喧嘩の増加 | 64.0 |
家族の対立 | 親戚とのトラブル | 60.4 |
家族の関係 | 家族内の会話の減少 | 58.0 |
家族/仕事のダイナミクス | 配偶者(妻・夫)が仕事を辞める、始める | 55.8 |
親の責任 | 子供の受験 | 49.0 |
家族の変化 | 妊娠(自分もしくは配偶者の) | 47.1 |
親の責任 | 子供の転校・入学 | 46.1 |
家族の拡大 | 新しい家族が増える(誕生、養子縁組、親との同居など) | 42.8 |
※結婚=42.5※ |
※指標以上:13項目(100%)、平均値:59.73.
Personal Category
自分自身の病気やけがのストレス値が71.4であり、個人の健康が大きく影響するストレス要因であることがわかります。
恋人との別れのストレス値が67.6であり、人間関係の終わりが個人にとって大きなストレスとなることを示しています。
長期休暇のストレス値が29.8となっており、これはリラックスや再充電の機会として、むしろストレスを減少させる可能性を示唆しています。
カテゴリー | ストレス要因 | ストレス値 |
---|---|---|
個人の損失 | 配偶者(夫・妻)や恋人の死 | 82.4 |
個人の損失 | 親族の死 | 77.0 |
個人の損失 | 親しい友人の死 | 76.1 |
個人の健康 | 自分の病気やけが | 71.4 |
関係の変化 | 恋人との別れ | 67.6 |
個人の問題 | 性的なトラブルや悩み | 51.6 |
社会関係 | 交友関係の変化 | 50.5 |
人生の出来事 | 結婚 ※指標にされることが多いです. | 42.5 |
ライフスタイルの変化 | 遊び、趣味、社会活動(ボランティアなど)の変化 | 41.8 |
個人の時間 | 長期休暇 | 29.8 |
※指標以上:7項目(70%)、平均値:59.07.
Work Category
失業やリストラはストレス値が70.8、会社の倒産が66.8となっており、職の安定性が重要な心理的ストレスの源であることがわかります。
職場の人間関係のトラブルはストレス値が64.1、仕事上のミスは59.2と計測され、これらは日常的な仕事のストレス要因として認識されています。
転勤や単身赴任はストレス値が50.2、会社の合併や統合は44.5となっており、これらの変化も職場におけるストレスの要因となり得ます。
職場の技術革新やデジタル化のストレス値は36.9となっており、新しい技術への適応も職場のストレス要因です。
カテゴリー | ストレス要因 | ストレス値 |
---|---|---|
仕事関連のストレス | 多忙による心身の過労 | 71.3 |
雇用問題 | 失業・リストラ | 70.8 |
雇用問題 | 勤務している会社の倒産 | 66.8 |
仕事関連のストレス | 職場の人間関係のトラブル(上司、同僚部下、顧客など) | 64.1 |
仕事のパフォーマンス | 仕事上のミス | 59.2 |
キャリアの変化 | 転職 | 57.2 |
仕事量の変化 | 仕事量の変化(量やペースの増加、課員の減少など) | 56.2 |
職場のダイナミクス | 職場での責任の変化(異動、左遷、配置転換など) | 53.2 |
キャリアの変化 | 就職・転職活動 | 53.2 |
転勤・単身赴任 | 転勤・単身赴任 | 50.2 |
職場のダイナミクス | 会社の合併・統合 | 44.5 |
※結婚=42.5※ | ||
社会的地位の変化 | 知名度、社会的地位のアップ | 39.4 |
職場のダイナミクス | 性別による仕事の制限 | 39.0 |
キャリアの進展 | 自分の昇進・昇格 | 37.9 |
職場のダイナミクス | 同僚の昇進・昇格 | 37.6 |
技術の変化 | 職場の技術革新・デジタル化 | 36.9 |
※指標以上:11項目(69%)、平均値:52.34.
Health Category
結婚のストレス値が42.5であることから、ヘルス&ライフスタイルに関連する変化は結婚という大きなライフイベントよりも、個人にとってストレスが高いと考えられます。
カテゴリー | ストレス要因 | ストレス値 |
---|---|---|
ヘルス&ライフスタイル | 睡眠習慣の変化(不眠、過眠、不規則) | 60 |
ヘルス&ライフスタイル | 食習慣の変化(過食、少食、節食、不規則) | 48.8 |
ヘルス&ライフスタイル | 飲酒習慣の変化(量や頻度の増加) | 46 |
※結婚=42.5※ |
※指標以上:3項目(100%)、平均値:51.60.
Financial Category
お金に関する項目は全体的に高いことがわかります.
住宅ローンの返済のストレス値が50.2となっており、これは結婚(42.5)よりも高い値であり、財政的義務が個人にとって重大なストレス源であることを示しています。
収入の増加はストレス値が26となっており、これはリストされている他の財政的要因と比較して最も低い値です。これは、財政的改善がストレスを減少させる要因である可能性を示唆しています。
カテゴリー | ストレス要因 | ストレス値 |
---|---|---|
財政的ストレス | 収入の減少 | 65.3 |
財政的ストレス | 150万円以上の借金(住宅ローン除く) | 63.3 |
財政的ストレス | 150万円未満の借金(住宅ローン除く) | 56.3 |
財政的義務 | 住宅ローンの返済 | 50.2 |
※結婚=42.5※ | ||
財政的改善 | 収入の増加 | 26 |
※指標以上:4項目(80%)、平均値:52.22.
Other
引越しに伴うストレスが高いことを考えると、荷物が少ないミニマリストであっても、そのストレスを避けるために頻繁に引越しをしないことが推測されます.
ご近所とのトラブル(61.3)のストレス値が引越し(46.1)やクリスマスや正月(30.8)といった祝祭日の機会よりも高いことから、社会的対立は特にストレスが高いとされています.
カテゴリー | ストレス要因 | ストレス値 |
---|---|---|
社会的対立 | ご近所とのトラブル | 61.3 |
人生の変遷 | 引越し | 46.1 |
※結婚=42.5※ | ||
祝祭日の機会 | クリスマス、正月 | 30.8 |
※指標以上:2項目(67%)、平均値:46.07.