ご指摘の通り、現代の皮膚科医学的な観点から見ると「温泉を最後に真水で洗い流す」という行為は、多くの場合で理にかなっています。
温泉成分を肌に残すメリットよりも、残留物による肌トラブルのデメリットを重視する考え方が一般的になりつつあります。皮膚科医学の視点でその理由を分析します。
接触皮膚炎と刺激の回避
温泉成分は非常に高濃度であり、特に酸性度が高い温泉や硫黄成分、塩分が強い温泉などは皮膚への刺激が強すぎることがあります。
成分が肌に残ったまま水分が蒸発すると、成分が濃縮されて結晶化します。これが皮膚の角質層を刺激し、痒みや赤み、あるいは「温泉皮膚炎」と呼ばれるかぶれを引き起こす原因になります。特に敏感肌や乾燥肌、アトピー性皮膚炎の既往がある方の場合は、洗い流したほうが安全といえます。
皮膚のバリア機能への影響
温泉の泉質によっては、角質を柔らかくして剥がれやすくする作用(ピーリング効果)があります。
アルカリ性単純温泉などは肌を滑らかにする一方で、肌のバリア機能を一時的に低下させる側面も持っています。この状態で刺激の強い成分が長時間付着し続けると、肌の水分が奪われやすくなり、かえって乾燥を招く恐れがあります。
衛生面でのリスク管理
不特定多数が利用する公衆浴場としての温泉には、以下のような付着物が想定されます。
- 他者の皮脂や汚れ
- 浴槽内に存在する雑菌(レジオネラ菌など)
- 消毒用の塩素剤
これらの物質を最後に真水でしっかり洗い流すことは、皮膚の清潔を保ち、感染症や皮膚トラブルを予防する上で非常に重要です。
効果の持続性について
「洗い流すと効果がなくなる」という懸念については、それほど心配する必要はありません。
温泉の主な効果である「温熱効果」による血行促進は入浴中に十分達成されています。また、微量元素の経皮吸収についても、入浴中の10分から15分程度の接触で一定の効果は得られていると考えられます。上がった後に表面を流したからといって、入浴中に得た医学的メリットがすべて消失することはありません。
結論
肌が弱くない方や、保湿成分が豊富な特定の泉質(メタケイ酸が多いなど)を楽しむ場合はそのままでも良いとされますが、以下の場合は必ず洗い流すべきです。
- 酸性泉、硫黄泉、強塩泉など刺激が強い場合
- 肌が乾燥しやすい、または敏感な自覚がある場合
- 公共の場としての衛生面が気になる場合
Anti-Aging man