美容医療が最近急増していると言われていますが、特に問題なっているのが”直美”など含めた美容医療に関する話をまとめてみました。
元となる話は以下の動画2本(前後編)です。かなり赤裸々に話されているので、多くの人の参考になると考えています。
— 前編
— 後編
<トーク者>
高須 幹弥(高須クリニック 名古屋院 院長) *YouTube「高須幹弥(高須クリニック)」チャンネル登録者70万人超えの方
寺井 美佐栄(ミサクリニック 六本木本院院長)
星 良孝(ステラ・メディックス代表 獣医師/ジャーナリスト)
◉ 悪徳美容の定義
- 過剰な広告と誇大表示
「2万9000円」と安価な広告を掲げながら、実際には高額な施術(50万円、60万円など)を強引なアップセルで契約させる。 - 経験不足または無資格の施術者
未経験や研修直後の「直医」や、看護師・受付スタッフなど無資格者が施術を行うケースが存在する。 - 強引なアップセルと営業圧力
カウンセラーがインセンティブ目的で高額な術式やオプション(高級な糸や麻酔など)を次々と勧め、最終的に高額契約を迫る。 - 医師やクリニックの実態の隠蔽
医師の顔や実績を明かさず、またクリニック運営元が一般社団法人などでオーナーが医療資格を持たない場合がある。 - 極端な価格競争による粗悪施術
激安価格競争の裏で、薬剤の薄め行為や不適切な医療材料を用いた施術が行われる。 - 合併症リスクや失敗事例の隠蔽
合併症(感染、血栓、皮膚壊死など)や失敗事例を患者に十分に説明せず、契約を急がせる。 - 口コミや評判の操作
サクラや業者を使い、「5つ星評価」と「1つ星評価」を極端に混ぜることで、実態を見えにくくする。 - 医師の未熟さと技術不足
「未経験歓迎」「初心者でも年収3000万円保証」などの募集をしているクリニックは、経験不足の医師が埋没法など基本的な施術しか行えない場合が多い。 - 非医療者オーナーによる営利至上主義
飲食業など他業種の成功者が一般社団法人形式で開業し、売上優先で安全性や倫理を軽視する経営を行う。 - 不十分なカウンセリングや術前シミュレーションの欠如
患者の要望を理解せず、コンピューターシミュレーションや丁寧な説明を行わないことで、仕上がりの不満やトラブルが多発する。
◉ 現在の日本の美容医療の問題点
美容医療市場の急成長と共に、技術の未熟な医師や違法施術の横行、整形依存の増加、誇大広告によるトラブルなど、多くの問題が浮き彫りになっている。特に利益最優先の経営や規制の甘さが、安全性の低下を招いており、消費者が適切な情報を得られずに被害を受けるケースが増えている。
1.
過剰な広告と誇大表示
・低価格を強調した広告(例:2万9000円)で集客し、実際には高額な施術(50万〜60万円)を契約させるアップセル戦略が横行している。
・SNSやメディアによる過剰な宣伝が、整形の必要性を煽っている。
2.
医療技術の未熟な施術者の増加
・研修を終えたばかりの未熟な医師(「直医」)が高度な手術を担当するケースが増えている。
・看護師や受付スタッフなど、本来医療行為を行えない人間が施術している例もある。
・医師免許を持たない人間がレーザー施術や注射などを違法に行うケースも報告されている。
3.
整形依存症の増加
・比較対象が多くなり、ルッキズム(外見至上主義)の過剰化が進行。
・整形依存に陥り、1000万〜3000万円もの大金を顔面に投じるケースがある。
・美容医療を過剰に繰り返すことで、最終的には「顔が崩れる」事例も増加。
4.
料金競争の激化と施術の質の低下
・美容皮膚科や美容外科が乱立し、激しい価格競争が行われている。
・極端な低価格を実現するため、施術の質を落としたり、薬剤を薄めたりするクリニックがある。
・無資格者や未熟な医師が低コストで施術を行い、トラブルが増えている。
5.
不透明なクリニック経営
・医療資格を持たない事業家が一般社団法人を通じてクリニックを経営し、利益最優先の体制をとっている。
・医院長の名前を偽名にしたり、運営会社の情報を隠したりするクリニックもある。
6.
SNSや口コミの信頼性低下
・良い評価と悪い評価を操作し、意図的に「4.8」程度の評価に調整している口コミサイトが多い。
・SNSでバズらせて集客する手法が主流になり、実力のない医師やクリニックが人気を得ることも。
7.
合併症・トラブルの多発
・手術による感染、血栓、皮膚壊死などの合併症が多発している。
・厚生労働省の調査によると、約40%の美容医療経験者が何らかの合併症を経験している。
・カウンセリング不足により、患者の希望と仕上がりに大きなズレが生じるケースもある。
8.
倫理観の欠如と医療ビジネス化
・「初心者でも年収3000万円保証」など、医師を営業マシンとして採用する傾向がある。
・カウンセリング時に強引に高額プランを勧め、利益を最大化しようとする。
・安全よりも売上を優先するクリニックが増加している。
9.
命のリスクを伴う施術の増加
・全身麻酔を伴う手術や、脂肪吸引・骨切り手術などで死亡事故が発生。
・特に未熟な医師による顎下の脂肪吸引手術では、誤って気道を塞ぐ事故が起きることも。
10.
規制・監視の緩さ
・自由診療が主であるため、厚生労働省の監視が比較的緩い。
・無資格者の施術や違法行為が見逃されるケースが多い。
・テレビやメディアが大手美容クリニックから広告費を受け取っているため、問題が表に出にくい。
◉直美の問題点
経験不足の医師が美容医療に流入し、施術の質が低下していることが大きな問題となっている。特に、未熟な技術による失敗、リスク説明の不足、修正手術の増加などが深刻化しており、業界全体の信頼性を揺るがす事態となっている。価格競争の激化により、未経験医師を大量採用するクリニックが増えていることも、美容医療の質の低下につながっている。
1.
未経験医師(直美)の増加
・本来、外科手術の経験を積むべき医師が、研修を終えてすぐに美容外科に転職するケースが増えている。
・美容外科は他の診療科に比べて年収が高く、直美の医師が年収2000万円以上を保証されることもあるため、経験の浅い医師が流入しやすい。
2.
未熟な技術による医療事故のリスク
・直美の医師は外科手術の基本を十分に学ばずに施術を行うため、失敗や合併症が多発している。
・特に「埋没法(二重まぶた手術)」「糸リフト」「脱脂術(目の下のクマ取り)」など簡単な施術は、直美でも実施できるが、技術不足によるトラブルが多い。
3.
集客重視の経営に利用される
・美容クリニックの中には、未経験の医師を安価で大量採用し、簡単な施術を流れ作業のように行わせるビジネスモデルが存在する。
・未経験医師を短期間で「埋没マシン」として育成し、安価な手術を大量にさせることで利益を上げるクリニックもある。
4.
患者に対するリスク説明が不十分
・直美の医師は経験が浅いため、施術のリスクや合併症について十分な説明を行えないことが多い。
・また、カウンセリング時に適切な判断ができず、患者の希望通りに施術してしまうことで、後に大きなトラブルにつながるケースがある。
5.
医療倫理の低下
・本来、美容医療は患者の健康と安全を最優先すべきだが、直美の増加により、施術の質よりも経営優先の風潮が強まっている。
・形成外科や外科の基本を学ばずに美容医療に参入するため、解剖学的な知識不足が問題視されている。
6.
修正手術の増加
・直美の医師による施術の失敗が増加しており、結果として修正手術の需要が高まっている。
・修正手術は難易度が高く、腕のある医師にとっては負担が大きいため、美容医療全体の質の低下につながっている。
7.
患者の見極めができない
・未経験の医師は、患者が抱える心理的な問題(整形依存症、手術後の満足度の低さなど)を適切に判断できない。
・そのため、不必要な整形を繰り返す患者に対しても施術を勧めてしまい、結果的に依存を助長することがある。
8.
価格競争による質の低下
・未経験医師を大量に雇い、安価な施術を提供することで、激しい価格競争が起きている。
・結果として、施術の安全性や品質が犠牲になっている。
9.
適切な医師選びが難しい
・SNSや口コミサイトでは、経験豊富な医師と直美の医師の区別がつきにくい。
・患者が適切な医師を選ぶための情報が不足しているため、未熟な医師に施術を受けてしまうケースが多発している。
10.
美容医療業界全体の信頼性低下
・直美の医師によるトラブルが多発することで、美容医療業界全体の信頼が損なわれている。
・適切な規制がないため、直美が増加し続ける可能性が高い。
◉ 悪徳美容の見分け方
悪徳美容クリニックは「安さ」「手軽さ」を前面に打ち出し、未経験医師や無資格スタッフを使い、不適切な施術で利益を上げる傾向があります。クリニックを選ぶ際は、「医師の経歴」「口コミの信頼性」「運営法人の確認」「料金の妥当性」などを慎重に見極めましょう。また、カウンセリングで不安を感じたら即決せず、必ず複数のクリニックを比較することが重要です。
- 料金設定が異常に安い広告を出している
・「2万9000円」など、極端に安い価格で広告を打つが、カウンセリングで高額なオプションを次々と勧め、最終的に50万〜100万円以上請求されるケースが多い。
・初回料金だけを安く設定し、アップセルで利益を得るビジネスモデルが主流。 - 未経験の医師(直美)ばかりを雇っている
・「初心者でも年収3000万円保証」「未経験者大歓迎」といった求人広告を出しているクリニックは危険。
・直美(研修を終えたばかりの未経験医師)が流れ作業のように施術を行っていることが多い。 - カウンセリングを医師以外が行う
・カウンセラーや受付スタッフが診断や施術内容を決定してしまう場合は要注意。
・無資格のスタッフが「高級な糸や麻酔」を強く勧め、インセンティブ目的で高額な契約を取ろうとする。 - 医療法人でない場合が多い
・運営元が「一般社団法人」など、医療法人でない場合は、医療経験のない企業が営利目的で経営している可能性が高い。
・ホームページ下部や求人サイトで運営会社を確認し、「医療法人」でない場合は注意。 - 口コミが不自然
・口コミサイトで「星5つが異常に多く、同時に星1つの悪評が目立つ」場合は、口コミ操作の可能性が高い。
・自然な評価は4.0〜4.8程度であり、極端な評価はやらせの可能性がある。 - ホームページに院長の実名や経歴が掲載されていない
・正規のクリニックであれば、院長や医師の名前、経歴、資格が明示されている。
・連絡先が「Gmail」などフリーメールで運営元が不明な場合は悪徳業者の可能性が高い。 - 医師の顔や施術方針が不透明
・SNS発信が派手なだけで、医師の実績や症例写真が少ないクリニックは注意。
・医師の「美的センス」は施術に反映されるため、医師の過去の症例や施術結果を必ず確認する。 - 院内の患者層が極端に同じ顔立ちになっている
・院内の待合室で、患者の顔立ちが似た仕上がりになっている場合は、医師の施術がワンパターンな可能性がある。
・医師の「好み」に偏ったデザインを押し付けるケースもあるため要注意。 - 価格設定が極端すぎる
・標準的な相場から大きく外れている場合は要注意(例:二重埋没法の相場は約10万円程度)。
・極端な安さは必ず別の方法で費用を回収するための罠。 - 求人広告に「高給保証・未経験歓迎」の記載がある
・「初心者でも年収3000万円」「未経験者歓迎」のような募集をしているクリニックは、経験不足の医師が大量に施術を行っている可能性が高い。